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生き延びるための10代暗黒絵巻

漫画

 わたしは人生で最も苦痛だったのは10代の頃なので、大人になってからの方が生きやすいと感じた。

 虐められていたわけでも勉強ができなかったわけでも虐待があったわけでもないけれど、学校という閉じられた空間と家庭しかないあの頃の閉塞感は気が狂いそうだった。

 自分の自意識に翻弄される毎日の中で、周囲の人間に対する違和感は憎しみや軽蔑へと捻じれ、淡い恋心は叶わず単なる肉欲の交換は傷だけを残す。教育熱心かつヒステリーぎみな両親の絡みつくような愛情と逃げ場のないプレッシャー。自由を保証する成熟とお金はなく、ただただ観念をいじくりまわす時間ばかりがある時代。

 10代というのは時に他から隔絶された世界に迷い込む。暗くて誰もいない世界。そういうものに引きずりこまれ呑みこまれる。それは決定的に自分を変えてしまう力を持ち、そして永遠に忘れられない記憶、消えない傷をわたしたちに残す。そこに光や希望に溢れた言葉は届かない。届くのは暗い物語だけだ。

 

さくらの唄

さくらの唄1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]

 古い漫画。作者の安達哲ピエール瀧の対談で知り、家の近所の古本屋で買ったのを今でも覚えている。高校生だった。

 ところどころで見られる冷静な絶望感に満ちた台詞がすばらしい。性欲と憧憬、劣等感とルサンチマン。ラストにむけて転げるように展開される下劣な悲劇に分類不能なカタルシスを感じる。

 

ヒミズ

ヒミズ(1)

 これはわりと最近読んだ。周りからすればまだ未来や希望があるように思えても、絶望が「決まっていること」としか思えない心性というのは確かにあって、そういう人にいくら未来に目を向けられる人間が希望に満ちた言葉をかけたとしても、当の本人は自分が対峙している絶望の凄まじさはやはり他者には理解されず、自分は永遠に囚われ続けるしかないのだという思いを増々強めるだろうよ。としみじみと思う本。ラストはあれが正しい。

 

「リバーズエッジ」

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版

 「平坦な戦場で僕らが生き延びること」10代のときにリアルタイムで読んだ。それこそ生き延びるために宝物のように読んだ。今の若い人が読んだらどう感じるのだろう。