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理想を主張すればいいわけじゃない

 前の職場の人(医療従事者)と話し、新人指導の大変さについて聞く。

 指導している新人さんが、指導内容や業務環境に対して「学校ではこう習ったんです…」といちいち言ってくるので参るらしい。どうにもその新人さんは学校では習ってないような現実はなかなか受け入れられないようだ。

 まあ気持ちは分からないでもないけど、臨床現場は学校で習ったようにはいかないということを分かっておかないとこの先大変だよなぁと思う。現場というのは、そもそも教科書にあるような分かりやすい病態の人は少ないし、治療に理想的な環境が(人的にも物理的にも)整っていないということは思っている以上に多いのだ。

 自分の同業者を見ていても「理想的な環境ではない」という点にこだわってしまう人というのが一定数いる。そういった人たちは往々にして自分の理想を絶対視して、「こんなやり方は間違っている、だからわたしはやりません」「こんな環境ではその仕事はできません」という頑なな態度を取りやすいのだけど、残念ながらそういった態度は人の反発を招きやすいわけで、結局ますます理想的環境(特に人的環境)が遠のいてしまうという悪循環が生じる。

 理想を追求することは大事だけど、社会に出たら「正しいことを言ってさえいれば上手くいく」というわけではないのだ。「このやり方、この理想が正しいのに、なんであの人たちはやってくれないの!(激怒)」では誰も見向きもしない。

 物理的にも人的にも全く理想的ではない環境の中で、自分の理想と周囲のニーズのバランスを取りながら、いかに自分の出来る最善のことをやっていくか。自分とは異なる価値観や理想をもった人と協業しなければならない時に、いかに話し合いや妥協や主張をおりまぜながら、最もよい道に着地点を誘導できるのか。そういう非常に現実的で泥臭いことを地道に時間をかけてやっていくのがプロだと思うし、そういったことをしている中でしか、自分の理想を実現できる環境というのは作っていけないと思う。思うんだけどなー。