こんにちは中二【中二の教科書3点】

 【中二】もしくは【厨二】

 捩じ切れる自意識と孤独の中、ただただ無限に劣等感を膨らませる暗黒の時代。己の力を過信して周囲を蔑みあげつらい、その倍以上に己を憎む。性と死を渇望しながらも大半のものを拒絶する。命をかけた自己陶酔。疾風怒濤の季節。
 
中二になったばかりの5月のある朝、わたしはいつものように家を出て学校に向かい、途中で公園のトイレに立ち寄り、制服を脱いで用意してきた私服に着替えると、ABCマートの袋に脱いだ制服を入れて個室に放置し、そのまま東京駅に向かった。過保護な家庭で育ったわたしは一人で電車に乗るのもましてや東京駅に行くのも新幹線に乗るのも初めてだった。だから事前に買った時刻表で確認したはずの新幹線の値段が思ったよりも高くて、行きの分しか切符が買えなかったのも仕方がない。何もかも初めてだったのだから仕方ない。駅員の示した金額を見てわたしは「あ、帰れなくなる」と思ったがそれ以上は深く考えないままお金を払い、数か月分のお小遣いと引き換えに手に入れたその切符を片手にホームに向かった。新幹線に乗って名古屋まで向かう間、聴いていたのは当時大好きだったユニコーンの歌だった。「届かない身動きも出来ないひとかけらの夢崩れてく」初期の頃のやや陳腐な恋の歌。別に失恋したわけでも何でもないのに恋の歌を聴きながら家出をしたのは何故だろう。でもいまだにあのフレーズは覚えてる。届かない身動きも出来ないひとかけらの夢崩れてく。
 
 ということで、中二的心性の個人的かつ古典的神3名。
 

太宰治

人間失格 (集英社文庫)

 太宰を中二に読まずしていつ読む!という本であることは満場一致と思うのだけれどどうだろう。合わない人には全く合わないようだけれど、合う人にとっては泥沼のような人生の救世主と思えるはず。そして「自分のことをこんなに分かってくれるのはこの人だけだ」からの、「彼のことを最もよく分かるのも自分だけだ」になるまでがお約束。そのくらい心酔したっていいじゃないか14歳だもの。
 

中原中也

 汚れつちまつた悲しみに…―中原中也詩集 (集英社文庫)
「汚れちまった悲しみ」という悩殺フレーズを中二殺しと言わずして何と言おう。ぜひ全国の中二の皆さんには14歳の誕生日の日にこれを暗記してもらいたい。全く汚れていないのが大半で、むしろ汚れたくても汚れられないのが悩みである14歳だけれど、それでも自分が最も汚れているとしか思えなくて、それを隠すために周囲こそが汚れきっているのだと思うのもまた14歳なのだ。
 

寺山修司

書を捨てよ、町へ出よう 角川文庫

 「書を捨てよ!街へ出よう!」「家出のすすめ」「時には母のない子のように」などなど、わたしが中二党を作るとしたら絶対キャッチコピーとしてデラデラとしたフォントの赤文字でポスターに激しく書き連ねたい言葉が多数。著作で慣れたら次は映画を見ましょう。サブカルな人になれた気がします。
 ちなみに青森は八戸の寺山修司記念館は館長さんがやさしいし、展示も寺山修司的世界で素敵なので大人になったら行くと良いよ。